スタッフブログ|日産スタジアム
芝生のとっておき話(1)
2003/01/28
 
縞模様がきれいなスタジアムのピッチ

   みなさん、こんにちは!
   前回の照明に続いて今回は芝生についてご紹介します。
競技場の命ともいえる芝生については、たくさんのエピソードがありますのでこれから数回に分けてお話ししていきます。楽しみにしてくださいね。
   第1回は、「なぜ1年中鮮やかな緑色なの?」と不思議に思われている方のために「芝種」について教えちゃいます。
   一言で芝生といっても種類だけでも数十種があります。庭木といっても松や杉・檜など多くの種類があるのと同じです。松の中にも赤松や黒松・五葉松があるように芝生にも数百の品種があるのです。
一般的に公園などで用いられている芝生は、暖地型芝のコウライシバやヒメコウライシバ・野芝などです。
では、競技場で使用している芝生は何でしょう。
   それは、コウライシバや野芝と同じ仲間である暖地型芝の中のハイブリッドバミューダグラスという種類で、「ティフトン419」という品種を使用しています。
   この芝生は日射と高温を非常に好み、夏場の成育は1日で1?2cmも伸びる芝生です。競技場のように利用で傷つくことの多い場所では、少しでも早い回復が必要なのでこの芝生が選ばれました。

ティフトン419の芝
横に伸び、ややくすんだ緑色
ペレニアルライグラスの芝
細かい直立茎で明るい緑色

   しかし、この芝生にも欠点はあります。日が強く、気温の高い時期には旺盛な成育をみせてくれるのですが、気温が下がり、日射量が少なくなる秋口になると茶色くなって枯れてしまうのです。
   公園などではそれでも良いのですが、競技場ではそうはいきません。
   特にJリーグのホームスタジアムでは年間を通じて常緑(エバーグリーン)でなければならないのでそのために対策を講じなければなりません。
   それが「オーバーシード」と言われる作業です。
   「オーバーシード」とは茶色くなり始めた芝生の上から、冬場でも緑色をしている寒地型芝の種子を蒔いて、その期間を補うことをいいます。
   競技場ではこの時の種子として「ペレニアルライグラス」を使っています。この種は初期成育が早く、短期間で使える芝生になってくれます。また暑さや病気には弱いので、「ティフトン419」が萌芽しはじめることになると、衰退して枯れ死してくれるので適しているのです。

(オーバーシードの作業手順)
(1) 左側のように芽数を減らす。
(2) 暖地型の上に寒地型の種子を落とす。

   このオーバーシードが結構厄介なんですよ。種子を蒔くことは簡単ですが、蒔き過ぎると眠っているティフトン君がそのままご臨終になってしまいます。少なければお休みしているティフトンが利用によって痛んで見栄えも悪くなってしまうんです。ただ、あくまでもペレニアルライグラスは冬場の一時しのぎですから、育てすぎは禁物なのです。
   こうした見えないところで色々なことを行っているから、1年間を通じて常に緑色に見えているのです。少しは疑問が解けたでしょうか?
   次回(vol.4の予定)は、「サッカー選手の好む芝生・嫌がる芝生」についてお話ししま?す。
競技場ひかり物語
2003/01/07
 
サッカー試合の照明

   みなさん、こんにちは!
   昨年はたくさんの人たちにワールドカップを始めトヨタカップやスーパー陸上など、テレビを通してそして実際に足を運び、横浜国際総合競技場を見ていただきありがとうございました。
   今回から、普段ではなかなか見られない舞台の裏側をご紹介したいと思います。
最初に、『照明のおはなし』。
   ナイターの試合で欠かすことのできない照明ですが、試合用に使われている照明(ランプ)ってどんなもの?どうやって交換しているの?という質問をよく受けます。そこで、このホームページを見てくれた皆さんだけにこっそり教えちゃいます。
   ナイター試合に使用されるランプは下の写真のようなものです。大きさはランプの下に見える人間の手と比較するとわかると思いますが、だいたい一升ビンと同じです。これ1つで街路用水銀灯の5倍の明るさです。

ランプ
全点灯

   このランプが競技場に全部で824個あるんですよ。明るくなるわけですね。でも、1回の試合に全部のランプを点灯することはありません。824個のうち、サッカーの試合で440個、陸上で384個と使い分けているんですよ。というのは、サッカーは主に芝生がメインで、陸上はトラックがメインですよね。競技場に来てくれる選手や観客の皆さんが常に最高の舞台でプレーし、そして観戦してもらうため、このようなシステムができているんですね。
   でも、過去に1回だけ全部のランプを皆さんの前で点灯したことがあるんですよ。いつですって?それは、ワールドカップ決勝戦の表彰式でした。覚えていますか?あの270万羽以上の折鶴が空から降ってきた場面。恐らく世界中が感動に包まれた瞬間でした。このとき競技場の全てのランプを点灯し、最高の演出に花を添えました。
   最後に、こんな高いところにあるランプをどうやって交換しているのか、教えちゃいます。まず、2F観客スタンドの最上階まで登ると、さらに上に登る階段とはしごがあり、屋根下まで上がれます。そこにはキャットウォークと呼ばれる、点検用の通路が屋根下伝いにぐるーっと1周通っています。ランプはそこで交換するんです。
   しかし、それだけでは終わりません。皆さんの家のリビングにある照明器具だってランプ交換の後、ランプカバーも掃除しますよね。せっかく新しいランプに替えてもカバーが汚れていては、台無しです。それは競技場でも同じこと。でも、この作業はとっても大変なのです。それは、照明器具の裏側に廻り込まなければならないからです。もちろん照明器具の下は何にもありません。30m下の観客席が待っているだけです。そこで、作業する人は落ちないように丈夫なひもで体を手摺りに縛りつけ、決死の覚悟で掃除をしているわけです。といっても、当の本人は慣れたもので、1日に数十回もこのような作業をこなしているのです。

キャットウォーク(点検用通路)
作業風景

   どうです?ちょっとは、隠れた側面に興味を持って頂けましたでしょうか?これからも、どんどん舞台裏に興味を持って頂けるよう、話題を提供していきますので、よろしくお願いします。
日産スタジアム
月別カレンダー
 
カテゴリー一覧
 
RSS