秋も深まり、朝夕めっきり涼しくなりました。
暑さが苦手なサクラソウもほっとしているのではないでしょうか。これからがサクラソウの植え替えのシーズンです。
新横浜公園のサクラソウは地植えですから植え替えはしませんが、横浜さくらそう会の三宅さんに1年苗を植えていただきました。この苗は新横浜公園のサクラソウから6月に採取した種にジベレリン処理を行い7月に播種し育てていただいたものです。新横浜生まれのサクラソウということです。
同じ時期に同じ処理をした種を新横浜公園にも直播しましたが、こちらは1本の発芽も見ることはできませんでした。土壌条件にそれほどの差があるようには思えませんが、結果を見るとその違いはあきらかです。人の作る栽培環境がいかに優れているのかを実感しました。
これから冬に向かい、小さな苗には厳しい季節となりますが、この地に根付いてほしいと思います。
<撮影日:平成23年10月27日>
↑写真手前、ロープの中の苗は9月30日に植えられたもの。木枠の中の苗が今回のもの
↑今回のサクラソウ苗と苗の植え付け状況
★ 写真 キタテハです
撮影日時: 平成23年10月17日
場 所: 北側園地1号水路
キタテハ、チョウ目タテハチョウ科の蝶です。全国広範囲に生息する蝶で新横浜公園でもよく目にするチョウですが、発生時期により夏型、秋型と呼ばれます。夏型は羽の色がくすんだ黄色ですが縁取りや黒班はハッキリとしています。
それに比べて秋型の羽は鮮やかな山吹色ですが縁取り、黒班の色は薄いのが特徴です。でも、季節型というものは、どこでも出るわけではありません。季節のない熱帯に季節型のチョウはいません。
季節型を発生させるメカニズムはチョウが羽化する時の日照時間、温度差にあると言われています。春型の発生時期は3月から4月。夏型は6月から8月くらいですが,温度調整により夏型を春型に変えることは可能です。夏型と秋型の発生時期はほぼ同じですが、この季節、それほどの温度差があるようには思えませんが、キタテハでは形や色合いが違います。
キタテハの食草はカナムグラ(アサ科の一年草)です。同じような名前の畑地雑草にヤエムグラと言うのがありますがこちらはアカネ科で違う種です。河川敷や耕作放棄地に大きな群落をつくります。
鶴見川や鳥山川にも繁茂しています。新横浜公園の整備予定地にも生えていますから、食べ物には困らないはずなのでもっと沢山のキタテハがいても良さそうに思うのは、人間の勝手でしょうか。
10月10日(月)、言わずと知れた「体育の日」です。毎年、全国各地でスポーツ、レクリエーションに関するイベントが開催されます。
日産スタジアムを中心とした新横浜公園でも、横浜元気!!スポーツレクリエーションフェスティバル2011が開催され、運動施設だけでなく草地広場などの園地を使った多種多様なイベントに多くの参加者が集まり大変賑やかな公園の風景となりました。
10月は実りの秋でもあります。スポーツで賑わう公園の一角で、のどかな文化的事業による田園風景が見られました。
6月12日(日)に、本年度の新横浜公園市民活動支援事業で採用された3事業コラボレーション(地域の伝統文化を体験し自然を学ぶ会・バタフライガーデン・飛んで来いトキプロジェクト)により北側園地の水田に「田植え」が開催されました。
今回は植えた稲の刈取りです。各地で大きな被害をもたらした台風12号、15号など農作物を作る上では厳しい天候でしたが、新横浜公園のイネはそんな中でも倒伏やスズメ達の食害もなく見事に頭を垂れた稲穂に成長しました。
<稲刈り開始です。みんな夢中です。> <親子の協同作業、鎌は初体験です> <稲刈りが終わった約100?の田んぼです>
田植えの時には100人を超える人手であっという間に田植えが終わりましたが、さすがに体育の日ということで近隣でも色々な行事が催されていたようで、今回は約半分の人手でしたが、みんな夢中になって刈ってくれたので約1時間で終わってしまいました。
<刈り取った稲をハザに干して終了です> <水鳥の餌場となるようタニシの放流です> <最後は新横浜公園の自然観察会です>
稲刈りの後は、「飛んで来いトキプロジェクト」の事業としてトキを象徴する水鳥の餌場となるように地元産のタニシを水田や水路に放流した他、「バタフライガーデン」主催者による自然観察会が行われ、新横浜公園で見られる生き物についての説明があり全てのメニューが終わりました。
朝の段階では雲に覆われていた天気も、時の経過とともに強い日射しと乾いた空気で汗ばむ陽気となり小さなお子さんたちはバテバテでしたが、みんないい笑顔でした。みなさん本当にお疲れさまでした。次は、脱穀作業です。
★ 写真 メンガタスズメ(蛾)の幼虫です
撮影日時: 平成23年10月12日
場 所: 北側園地
前回に続いてスズメです。鳥類のスズメでないのは見れば分かります。
このスズメはメンガタスズメ(チョウ目スズメガ科メンガタスズメ属)です。ゴマの葉についていました。特徴は背中の縞模様でしょうか。
成虫(蛾)になると胸部背面に頭蓋骨のような模様が見えます。そのため「ドクロ蛾」とも呼ばれ、和名ではメンガタ(面形)スズメです。人の顔のように見えると言うのが名の由来です。ムンクの「叫び」に似ています? 1991年に公開された映画「羊たちの沈黙」のポスターにこの蛾が載っています。美しい女性の口許に蛾がとまっている図柄ですが、この蛾がメンガタスズメです。
同名の小説(作者はトマス・ハリス)の映画化で猟奇連続殺人事件を題材にしたものですが、この蛾がポスターになった訳は殺人犯の性格設定にあります。
殺人犯の性格「裁縫とアジア産の大型の蛾を育てるのが趣味」ということですが、虫が好きな人にとってはあまりうれしくない性格設定ではないでしょうか。もっとも、1965年公開の映画「コレクター」の主人公も趣味が昆虫採集(蝶)だったのを考えると、昆虫愛好家?の世間での評価が気になるところです。
映画は評判になり、主演のジョディ・ホスターはこの映画でアカデミー賞を受賞しています。それでメンガタスズメの知名度が上がったとの話は聞きませんが。
★ 写真 トビイロスズメ(蛾)の幼虫です
撮影日時: 平成23年9月30日
場 所: 北側園地整備予定地
台風一過、北側園地の草木も冬支度を始めたようです。ススキ、オギの穂が出始め、イネ科の植物の葉から水気がなくなってきました。整備予定地のクズも例外ではありませんが、そのクズの葉に鮮やかな黄緑色のイモ虫がとまっています。トビイロスズメ(チョウ目スズメガ科)です。
北側園地でスズメガの幼虫は珍しくはありませんが沢山いるのには驚きました。トビイロスズメは他のスズメガと違い幼虫形態で越冬します。幼虫形態は凍える冬を越すには不利なようにも思えますが、でも、それでトビイロスズメが減少することもないようなので生き物の生態とは不思議です。
新横浜公園北側園地のトビイロスズメの食草はクズですが、マメ科の植物なら大豆、ハギ、ニセアカシアでも問題ありません。中国山東省、江蘇省あたりでは「豆虫」と呼ばれ食用とされています。
無農薬の自然食品として人気があるそうです。殺虫剤を撒かれると虫はいなくなってしまいますから無農薬なのは間違いありません。その食べ方ですが、油で揚げたり、炒めたり、スープの具にしたりと多彩だそうです。中国清代の作家?蒲松齢(ほしょうれい)と言う人がその料理法を詳しく書いているそうですが、私は読んだことはありません。蒲松齢は「聊斎志異」の作者です。かなり変わった料理法が書いてあるのではないでしょうか。
★ 写真 カボチャ(西洋カボチャ)です
撮影日時: 平成23年9月28日
場 所: 北側園地耕作地
先日の15号台風の強風で葉の陰に隠れていたカボチャが顔を出しました。
ウリ科カボチャ属の一年草で夏を代表する野菜の一つです。日本には17世紀に東南アジア経由で入ってきました。カボチャの名も経由した国の一つカンボジアに由来するそうですが、カンボジアではどんな料理になったのでしょうか。
今、日本で栽培されているカボチャは日本カボチャ、西洋カボチャ、ぺポカボチャの3種です。
17世紀最初に日本に入ったのは日本カボチャで40年前に食卓の上っていたのはこの種類です。武者小路実篤が色紙に画いたカボチャですね。縦にしわのあるカボチャで和食には欠かせないカボチャですが、今は甘味が強く、食感もほくほくした西洋カボチャが主流で日本カボチャを見ることは少なくなりました。でも、鹿ヶ谷(ししがや)カボチャは京野菜ブランドとして健在です。ぺポカボチャは「おもちゃかぼちゃ」とも呼ばれますが、種子から取れるオイルは医薬品でもあります。未成熟果実を食べるズッキーニもこの中に入ります。
大きなキュウリのような形で南欧料理には欠かせません。カボチャは夏野菜ですが、しばらく置いた方が美味しくなり冬の保存食として重宝されています。
冬至に食べると風邪をひかないと言われるビタミンBの豊富な健康食品でもあります。