新横浜公園生きもの観察日記362

観察日 : 2021年 8月12日(木)

場 所 : テニスコート裏手のスロープ付近、水路周辺、大池周辺

生きもの: ウズラカメムシ、ヒメウラナミジャノメ、シオカラトンボ、ヒメアトスカシバ、アオモンイトトンボ

記事作成: 横山 大将(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)

 

 立秋を過ぎ、暦の上では秋。でも、来る日も来る日も猛暑。本当に秋を感じるのはまだ先だなぁ、と思う今日この頃です。筆者は暑さにめっぽう弱いので、まだ涼しい朝8時前から観察をスタートしました。

 公園内に降りていく道中、スロープ脇の茂みに目を向けるとイネ科植物の穂に1匹の昆虫がしがみついています。これはカメムシの一種、「ウズラカメムシ」です。

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イネ科植物の穂にしがみつくウズラカメムシ

 

 名前の由来は皆さんもよくご存知、鳥のウズラから。背面の模様や尖った頭部の形状がウズラとそっくりだということでこんな名前になったといわれています。イネを食害するので米農家さんからは嫌われますが、頭でっかちでどことなく可愛らしいカメムシです。

 水路の方に移動してみました。すると早速、茂みの隙間をひらひらと小さなチョウが飛んできました。タテハチョウの仲間、「ヒメウラナミジャノメ」です。花の蜜を吸いにやってきたようです。

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吸蜜中のヒメウラナミジャノメ

 

 小さな体と、翅(はね)の裏にある波模様と目玉模様から「姫裏波蛇の目(ヒメウラナミジャノメ)」という名前が付けられたとされています。人によってはこの目玉模様が気持ち悪いと感じるかもしれませんが、ジャノメチョウやヒカゲチョウ類の種を調べるのに大変重要な模様でもあります。目玉模様の付いたチョウを見かけることがあったら、苦手でない方はぜひ、何という種類のチョウなのか調べてみてください!意外と楽しいですよ!

 水面の開けた水路に移動してみると、トンボがたくさん飛んでいます。新横浜公園をはじめ、池のある公園ではよく見かける「シオカラトンボ」です。

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葉っぱにとまったシオカラトンボのオス

 

  飛ぶスピードが速いので、どこかにとまってくれるのを待つことにしました。待つこと5分。目の前の葉っぱにとまってくれました!すかさず連写。いつ見ても惚れ惚れするカッコ良さ。複眼の透き通ったブルーも引き込まれそうな美しさです。

 次はクズが茂った水路に移動です。葉っぱの上に何かいないかな~、とゆっくり歩いていたところ、黒と黄色のしましま模様が目に入りました。ハチのように見えたので、遠巻きにじっくり観察してみると「ヒメアトスカシバ」というガの仲間でした。 

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交尾中のヒメアトスカシバ(左:オス/右:メス)

 

 今回、初めて交尾中のペアを観察できたのですが、オスとメスで体色が随分と違うことに驚きました。ヒメアトスカシバはドロバチ類に擬態しているといわれていますが、オスの方はあまりハチっぽくないですね。もちろん、ガなので刺してくることはありませんので、もし見かけてもそっとしておいてあげてくださいね。

 最後に大池の周辺を観察します。足元を細身のトンボがたくさん飛んでいます。イトトンボの仲間、「アオモンイトトンボ」です。  

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交尾中のアオモンイトトンボ(上:オス/下:メス)

 

 よく、ハート形に例えられるアオモンイトトンボの交尾を間近で撮影できました。しかしよく見ると何となく違和感が。オスは腹部の第8節が全体的に水色、メスは腹部が全体的に黒色なのですが、2匹ともオスっぽい体色なんです。後で調べたのですが、メスの中には成熟するとオスそっくりの模様になる「オス型」という型が少ないながら出現するそうです。 "生きもの好き"になって20余年、まだまだ知らない事の方が多いですね。日々勉強です。

 今回は多くの生きものを観察できたので、少々長くなってしまいましたが、これでも観察できた生きものたちのほんの一部です。特に昆虫を観察するには最高の時期でもあります。熱中症や新型コロナウイルス感染対策等々、充分な対策をしたうえでフィールドワークを楽しんでください!

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