芝生観察日記 第119話

芝生観察日記の第百十九話です。

令和三年3月28日(日)

<~ Road to 2019&2020 ~>

 25日に行われた日韓戦は、様々な見方がありましたが、日本代表が3対0の圧勝という形で韓国代表を破りました。

 日本国内では、ようやく先日の試合に関する新たな記事は見られなくなりましたが、敗れた韓国国内では未だに日韓戦に関する新たな記事が配信されているようですが、今や日韓戦というより自国の代表チームに対する内容が多いようです。

 無気力や悲惨な闘志など、厳しいバッシングを受けているようですが、実際我々も現場で感じたのは、過去2回日産スタジアムで行われた日韓戦の時とは、緊張感というか決戦の場という雰囲気が感じられなかったように思いました。

 いずれにしても宿敵韓国に勝利したことは、日本代表にとっては大きな意味を持ちますし、日産スタジアムでの戦績も2勝1分けとなり、より験がよいスタジアムとなったに違いありません。

 今回の試合開催に際しては、新型コロナウイルス感染症対策を様々な場面で、より厳しく対応することが求められていました。

 選手に対しては、報道等でご存知かもしれませんが、更衣室や移動のためのバス、食事など全て海外組と国内組で分かれるなどの対策が徹底され、選手間のコミュニケーションが大変だったようです。

 スタジアム内でも様々な対応を行いましたが、我々芝生担当者としては、試合前日に行われた両チームによる公式練習後、以前も話題提供しましたが、選手の唾液や飛沫による選手自身、関係者、そして我々芝生管理者への感染リスクを軽減させるため、アルコールに代わる消毒薬として経済産業省が認可した「ポリオキシエチレンアルキルエーテル」という界面活性剤を含んだ芝用展着剤を散布しました。

s-015.jpg また、Jリーグでも義務付けられているサッカーゴールやコーナーフラッグ、選手ベンチなど選手が直接触れる部分のアルコール消毒を徹底しました。

s-05666.jpgs-05999.jpg

 試合当日の芝刈高は18㍉。この時期としては比較的長めの設定です。この試合が予定されていなければ通常は既にトランジションのため15㍉以下というのが普通です。

 また、試合前に測った硬度は事前に実施したバーチドレンや毎週のようにまとまった雨が降る天候も影響してか、79.44と理想的な数値でした。

 この日のために調整してきたピッチの芝生は、ほぼ寒地型のペレニアルライグラスですが、スムーズなトランジションを想定し、昨秋蒔いた種の量は30g/㎡と控えめだったことを思い返すと計算通りに仕上がり、ホッとしました。

s-037.jpg ピッチでは、22日から練習が始まりましたが23日に一日遅れて合流した吉田麻也選手のピッチインした際の第一声が、「ジャパニーズピッチ最高だね」この一言は、代表のマネージャーさんから後になって聞いた話ですが、素直にうれしいですね。 このシーンは、JFAの公式TeamCamでも視られるようです。

s-102.jpg 写真は、試合前のウォーミングアップ時のものですが、試合が終わった時も傷の具合は全体的に軽く、スパイクが引っ掛かった程度の傷が所々に散見されました。

s-103.jpg

 この写真も、ウォーミングアップ後のものですが、試合後も張替えの必要は全くない状態でした。

 総じて、今回の日韓戦では試合日も入れて4日連続で使用したわけですが、張替えや補修などリカバリー作業は必要なく安心しました。

 今週からトランジション作業を開始する予定ですが、今週末に予定されているJリーグもベストコンディションで迎えられるように養生していきます。