スタッフブログ|日産スタジアム
憧れのワールドカップ決勝の芝に入れる特別ツアー開催報告
2008/06/23
 

6月14日・15日にスタジアム10周年記念イベント・憧れのワールドカップ決勝の芝生に入れる特別ツアーを開催致しました。
ご参加くださった皆様ありがとうございました。
残念ながら、ご参加いただけなかった方々にもこのツアーの内容をご紹介したいと思います。

<ツアーの始まり>
ツアーはまずボランティアさんによるスタジアムの説明に始まり、ブラジルロッカー・レアルロッカー・バルサロッカーを見学いただきました。ブラジルロッカーは通常のスタジアムツアーで見ることが出来るのですが、レアルとバルサロッカーはほとんど見る機会がないのです!
説明するボラさん ボランティアさん。コンコースにて

各ロッカールームを見ていただいた後は、ピットを通り、2002ワールドカップアンセムとともにいざピッチへ!
いざピッチへ

ここからこの日産スタジアムの芝生を管理するグリーンキーパー(以下GK)にバトンタッチして、芝生の説明に入りました。
グリーンキーパー  グリーンキーパー

<なぜ芝生に入ることができないの?>
「なぜ芝生に入ることが出来ないのか」疑問に思われた方も沢山いらっしゃると思います。
それはGK達が提供するに値するだけの満足な芝生を造れていなかったからです。
日産スタジアムは全周屋根で覆われているため、芝生にとって充分な日射量を確保するのが難しく、また、人工地盤上に植えられており(例えて言うなら、植木鉢に植えられている状態)地熱の変動が激しいなどの悪条件のため、芝生の管理技術の確立が難しかったのです。日産スタジアムのGKは様々な経験を積み重ね、10年間かけてやっと提供に値する芝生を作ることができたのです。そして、今なら一般の方にも芝生を体験していただけるということでこのツアーが企画されました。

この日産スタジアムの芝生はスポーツターフ(競技用の芝生)です。スポーツターフも生き物なので当然競技をすると荒れてしまいます。一回試合をすると、次の利用までに1週間から10日間もかかることもあります。
GKは一日3回は芝生の状況を観察し、常にベストコンディションに保っているのです。GKにとって芝生はかわいい赤ん坊のようなもの。本音をいうと、試合をすると芝生があれるので、本当は試合をしてほしくないんですって!でもそれだけ芝生に気持ちを込めて管理しているということなのです。

<スポーツターフについて>
Jリーグのホームスタジアムは一年中、常緑(エバーグリーン)でなければならないという規定があります。日産スタジアムで使用している芝生の種類には夏用・冬用があります。夏芝は秋冬の休眠期になると茶色に変色してしまい、冬芝は暑さに弱いのです。現在夏芝の新芽が出てきて、現在は2種類が混ざっている状態です。お盆ごろには完全に夏芝だけになりますが、お彼岸を過ぎるともう冬芝の種をまいてしまうので、夏芝だけの時期はわずかな期間だけです。

少し白っぽくなっている部分があるのがわかりますか?
夏芝
ここの部分は夏芝です。夏芝は色が淡く、冬芝は濃いので、季節によってピッチの色も変わってきます。芝生の長さは18mm。一日に1?2mmほど伸びます。冬だけは25mm?30mmで芝生の特性によって刈り込みの長さも変わってきます。スポーツターフは自然には切り替えができないので、GK達の手によって成長を助けられているのです。

<ピッチの疑問>
皆さんはピッチの縞模様がどのようにして作られているかご存じですか?
ピッチ全景          ピッチ
私は色の違う芝生を植えているのかと思っていましたが、違いました。
芝生の刈り込みの向きを変えることによって芝生の倒れる向きが変わり、そこに光が反射し、縞模様に見えるのです。ちなみに芝生の刈り込みの幅は6mです。

芝生の話は日産スタジアムスタッフブログの芝生のとっておき話や芝生観察日記にGKからのもっと詳しい話が載っていますので、ぜひご覧下さい

<この日だけのスペシャルな物>
この日は芝生に入れることはもちろんの事、普段見る事が出来ない物が沢山登場しました。

まずはこのボール!
横浜F・マリノスの練習球

横浜F・マリノスの選手が実際に使用している練習球で、この日のためにマリノスさんが特別に貸してくださいました。実際、選手が使っているボールを蹴れる機会もあまりないですよね!キッズたちも大喜びでした。
ボールに群がるキッズたち

そしてこのコーナーフラッグ、実際にワールドカップで使用されたもので、さらにワールドカップの時しか使っていないコーナーフラッグなのです。
ワールドカップでしか使用していないコーナーフラッグ

このコーナーフラッグ、大会前にFIFAから送られてきたのですが、ある問題が発生!本来、オフィシャルスポンサーのマーク以外は使用できないのですが、マークが付いていたのです。このままでは使用できない!多くのスタジアムではその部分をシールか何かで隠していたのですが、ちょっとカッコ悪い。そこで日産スタジアムは、急遽柴田GKの奥様が布屋さんで同じような生地を購入し、手作りのコーナーフラッグを使用したのです。
右:手作り日産スタジアムコーナーフラッグ左:FIFAコーナーフラッグ
今だから言えるお話です。

さらにさらに実際に代表戦やJリーグの試合でも使用されているベンチにも座って頂きました。
代表戦・Jリーグの試合でも使用しているベンチ

<最後に・・・>
「芝生に入りたい」沢山の方々から寄せられる、スタジアムへの意見です。芝生への立ち入りは一般の方々だけではなく、ここで働く職員達も規制されています。
今回職員にとっても心待ちにしていたこのツアー、ある職員は芝生を体感し、「大変貴重な体験をした」と感激していました。

今回ご参加していただいた皆様には常に芝生を管理しているGKから生の話を聞き、厳しい管理の状況や、芝生は生き物であるということを、実際に芝生に入ることによって感じていただけたのではないかと思います。このブログを読んで下さった方々にも少しでも芝生の管理状況をご理解いただければと思います。

後日、このツアーにご参加くださった方々の声を掲載したいと思います。