新横浜公園生きもの観察日記323

観察日 : 2019年 10月31日(木)

場 所 : 大池

生きもの: コガモ、キンクロハジロ、カワウ、チョウゲンボウ/ オオヨシキリの巣

記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)

 

 10月12日に通過した台風19号では、新横浜公園が含まれる鶴見川多目的遊水地に鶴見川の水が流入し、約94万m3を貯留しました(遊水地の総貯水量は390万m3)。翌日はラグビーワールドカップ2019™の日本対スコットランド戦だったことから、遊水地としての機能も注目されたのではないかと思います。平成15年の運用開始から、21回目の流入となりました。台風前の大池は、水面が枯れたヒシで覆われている状況でしたが、台風後はほとんどなくなっていました。

 

DSCN7040.jpg台風19号前の様子(10月9日)

IMG_0661.jpg観察日の様子(10月31日)

 

 秋が深まりカモの種類や数が増えてきているか楽しみにしていましたが、10月上旬の観察と大きく変わらず、カモの仲間はコガモ、ハシビロガモ、キンクロハジロ、カルガモの4種。オオバンは徐々に増えてきており、25羽見ることができました。

 

 大池対岸の岸辺では、カワウが翼を大きく広げていました。「ほら、私を見て」と言っているわけではなく、羽は水をはじかないので乾かす必要があるんですね。一方、カモの仲間は、尾羽のつけ根辺りにある尾脂腺から出る脂を羽毛にぬりつけることで水をはじくことができるので、カワウのように羽を乾かす仕草はありません。

 

DSCN9247.jpg排水門付近で休むコガモ

DSCN9309.jpg休息中のキンクロハジロ 目はぱっちり

DSCN9321.jpg羽を乾かすカワウ

 

 観察も終盤にかかり、もう一つ何か出てくれないかなと見渡していると越流堤の上空を飛翔するチョウゲンボウを発見。河川ライブカメラの上に降りたため、写真を撮ろうとしたところ飛び立ってしまい、肉眼で姿を探していると今度は水位計の上にとまりました。獲物をとらえてきて何かを食べているようで、スコープでじっくり見ているとカマキリでした。草むらにいるカマキリを捕獲するとは流石の動体視力ですね。

 

DSCN9341.jpgカマキリを食べるチョウゲンボウ

DSCN9346.jpg食後の様子(雄:頭は青灰色)

チョウゲンボウ・カワウほか場所.jpg 

 

 今回は、オオヨシキリの巣についてもお知らせしたいと思います。オオヨシキリは、初夏に渡来し、水辺のアシ原等で繁殖。秋になると南に渡りをする夏鳥です。一夫多妻性で、巣はアシの茎を支えにしておわん型のものを作り、5個程度の卵を産みます。カッコウに托卵される鳥としても有名です。

 

 新横浜公園では、水路の一部をオオヨシキリエリア(下地図黄枠)としてアシ原を維持管理し、繁殖を支える場としています。昨シーズン、巣の確認は1つでしたが、今回は2つ(下地図×印)確認することができました。無事に巣立ってくれていたらとても嬉しいですね。大池越流堤側にもアシ原があるため、おそらくこちらでも数個体が繁殖しているのではないかと思います。来年もたくさんのオオヨシキリがやってきて、繁殖場として利用してほしいですね。

 

オオヨシキリ多目的遊水地060617.jpgオオヨシキリ

オオヨシキリの巣場所.jpg黄色:オオヨシキリエリア  赤×:今年オオヨシキリの巣を確認した場所

DSCN9142.jpgDSCN9143.jpgDSCN9144.jpgオオヨシキリの巣

台風19号による流入後だったため、巣は泥だらけ。

草の茎や葉だけではなくビニールひものような人工物も使っていました。