新横浜公園生きもの観察日記340

観察日 : 2020年 7月11日(土)

場 所 : バタフライガーデン、大池周辺、第2駐車場ピロティ階段下

生きもの: アオメアブ、シオヤアブ、ハグロトンボ

記事作成: 横山大将(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)

 

 7月ももう中盤に差し掛かろうとしていますが、まだ梅雨は明けず雨の降る日が続いています。長雨の影響で各地の河川氾濫や水・土砂災害の様子が連日報道されています。被災された地域とお住いの皆様におかれましては、一日も早い復興ができることを心よりお祈り申し上げます。

 さて、今日は曇り時々雨の予報。雨続きだったので、観察に行くしか無い!と思いお昼過ぎ、公園に向かいました。公園には到着したものの、風がめちゃくちゃ強いです・・・。この感じだとチョウや鳥は厳しそうかなぁ、と考えながらバタフライガーデンに向かいます。植栽されている花を見ながら歩いていると後方から黄色っぽい色をした20mm後半くらいの大きさの虫が飛んできました。「スズメバチか?」と思いましたが、草の茎に止まったその姿を見るとハチとは全然形が違います。大きな眼、短い触角、毛むくじゃらの体。アブの仲間のアオメアブでした。

 

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風に飛ばされないように茎にしがみつくアオメアブ

 

 アブとはいっても、このアオメアブをはじめとするムシヒキアブの仲間は皆さんのイメージするような血を吸うタイプのアブとは違い、コガネムシやハチ、トンボといった昆虫をエサとするアブなのです。残念ながらエサを捕まえる様子は撮影できませんでしたが、公園内ではよく見かけるので機会があればぜひ観察してみて下さい。ちなみにアオメアブ(青眼虻)の名前の由来は、眼が青緑色をしているからだそうです。そのまんまでわかりやすくて良いですね。

 あまり近づくと逃げてしまいそうだったので、アオメアブとはここでお別れです。そのまま園路に沿って大池の方へ進みます。大池の周りも随分と草が茂ってきました。そこを歩くと、小さな昆虫がたくさん出てきます。バッタやコオロギの子ども、小型のカメムシやガの仲間、そしてハチ・・・かと思いきや、またムシヒキアブの仲間でした。1日に2度も騙されるとは、なんたる不覚・・・。しかし、先ほどのアオメアブとは少し様子が違います。眼の色が青緑色ではなく、黒っぽいのです。これは、シオヤアブ(♀)のようです。

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草の中から出てきたシオヤアブ(♀)

 

 シオヤアブは雌雄の見分け方が比較的簡単なムシヒキアブの仲間です。♀は写真のように腹端が黒っぽくなっていますが、♂は腹端に白い毛束が付いています。♂の白い部分が塩が付いているように見えたことからシオヤアブ(塩谷虻)という名前がつけられたそうです。となると、♀は全然「シオヤ」ではないのでは?・・・まあ、それは置いておきましょう。

 なんだか、アブ特集みたいになってしまいましたが、気を取り直して移動してみます。スケボー広場裏の公園からスタジアムへ上る階段の近くに差し掛かった時、トンボが飛んでいくのが見えたので追いかけてみました。フェンスの向こうに行ってしまいましたが、地面に止まってくれたので写真に収めることができました。ハグロトンボです。

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ハグロトンボ

 

 イトトンボの仲間と勘違いされることがありますが、ハグロトンボはカワトンボの仲間で、イトトンボよりもかなり大きいです。名前の由来は翅が黒いことから。翅に色がついているトンボって意外と少ないんですよね。公園の横を流れる鶴見川の流域では今から2,30年前、生息数が激減しましたが、最近ではよく見られるようになりました。実際に鶴見川では幼虫(ヤゴ)もよく採れ、繁殖している様子も窺えます。

 梅雨明けはもう少し先になりそうですが、生きものたちは着々と夏に向けての準備を進めています。自然観察に行かれる際には、天候と新型コロナ対策を万全にして、ソーシャルディスタンスを保ちつつお楽しみ下さい!

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