芝生観察日記 第108話

芝生観察日記の第百八話です。

令和二年10月 5日(月)

<~ Road to 2019&2020 ~>

 

 寒地型芝(ペレニアルライグラス)の種が発芽しました。

 写真は昨日撮ったものですが、この感じだと3日(土)には既に発芽していたようです。

 予想通り播種して4日後の発芽ということで、例年並みとなりました。

 黄色い線で囲んだ中に針のようにピンと立った、人間に例えるとまだ赤ちゃんの状態なので我々もうかつにピッチ内に入れません。写真もピッチ外周から観察して撮りました。

このタイミングで踏んでしまうと新芽が潰れて枯れたり、生育に遅れが生じる恐れがあるからです。

 冬芝の種を蒔く9月、10月はスポーツの秋と言われます。この季節、毎年多くの利用希望が集中します。ただ、芝生として使えるようになるには、発芽してから約2週間、播種からは凡そ3週間の養生期間を必要としますが、実際は3週間確保できない年もあります。中には3週間ですら養生期間を確保できないスタジアムがあると聞きますが、正直驚きです。プロが使うピッチの芝です。使う側の理解も必要です。

 我々の理想を言わせていただければ養生期間は最低4週間必要です。目安となるのは葉の枚数です。今は幼少芽に過ぎませんが、これが茎葉に成長して、その枚数が3枚になった段階で周りの暖地型芝と共存することでサッカーを始めとした利用に耐えられるようになると考えています。

 もちろん、養生期間が長ければ長いほど丈夫な芝生に成長するのですが、Jリーグやその他の利用希望に対応しなければならないので理想通りには行きません。

 日本は、欧米に比べて天然芝のグラウンドが多くありません。どうしても限られた場所に利用が集中するため管理する側の声が、利用する側の声に押されてしまうこともしばしばあります。

 しかし、相手は生きものです。四季の変化が著しい日本では人間が思った通りの生育をしてくれない年もあります。

 スポーツターフは使うための芝生なので、使って傷むのは当然です。ただ今は未成年です。大人の芝生になるまでは、少し時間をください。責任を持って育ててあげたいと思います。

発芽.jpg