芝生観察日記 第129話

 芝生観察日記の第百二十九話です。

 令和四年10月1日(土)

 10月に入り、爽やかな秋空が広がりました。

 9月は、毎週のように台風の影響で荒天となる日が多かったので、ここ数日の晴天は芝生にとって恵みの空模様となっています。

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 上の写真、いつもと何か違うと感じませんか。芝生観察日記ですが、芝生のことではありません。

 日産スタジアムは、総合競技場であるため芝生を使うサッカーやラグビーだけではなく、トラックを使った陸上競技も行われます。

 1000分の1秒を争う陸上競技は、選手の記録を公式記録として公認するため、5年に一度、日本陸上競技連盟の検定を受けなければなりません。特に、日産スタジアムは日本陸連の第1種に加えて、国際招待大会に必須な国際陸上競技連盟のクラス2の公認検定も受けなければなりません。

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 開場して24年が経過し、これまでにも検定を受けて来ましたが、今回はウレタンの劣化が激しいため、赤いウレタン部分を全部削って塗装をし直す必要があり、何層にも及ぶ塗装をミリ単位で削っていきます。

 現在は、Jリーグのほか、天皇杯の決勝戦が控えているため芝生の管理に比較的影響が少ない場所から切削工事が進められています。

 今後10月29日のJリーグ最終戦が終了すると本格的に工事が始まり、2月末まで行われる予定です。

そのため、この冬は日産スタジアム内の利用ができないので冬芝のオーバーシードを行っていません。例年であれば、オーバーシードした冬芝の新緑が美しい季節ですが、今年は夏芝の淡い緑のままです。

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 ここ数日、30℃に迫る残暑のような陽気が続いていますが、夏芝にとって最低6時間は必要とされる日照時間(所説あります)は6時間を切り、着実に夏芝の生育は休眠に向けて下降しています。生育は緩やかであり、緑度も少しずつ低下してきました。

 今年の夏は、大変厳しい状態が続き、選手達には迷惑を掛けました。まだ完璧とは言えませんが、現在はほぼ回復しています。

 10月は、天皇杯を含めて4試合が予定されています。

 特に、優勝がかかるマリノスの選手には、少しでも良いコンディションを提供したいと思っています。工事との兼ね合いで管理作業にも若干の影響はありますが、ベストを尽くしたいと思います。