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日産スタジアムのスポーツターフ

SPORTS TURF

スポーツターフとは

 スポーツターフとは、スポーツをする芝生のグラウンドという意味です。「ターフ」は、芝生本体芝生から伸びた根、そして根が生育している土壌までを含む地べたのことです。つまり、サッカーやラグビー、そして野球などの競技スポーツを行う芝生が生えた地べたというのが詳しい説明でしょうか。

 

 土は乾くと固くなり、水を含むと滑りやすくなりますが、表面を覆う軟らかい芝生がクッションとなって選手の安全性を確保し、質の高いプレーコンディションを提供するため、多くのスポーツでスポーツターフが求められています。美しいスポーツターフは競技するプレーヤーのみならず、観衆をも魅了します。また、スポーツターフは安全性だけでなく、競技に支障がないように維持する必要があります。ボールの転がりを良くすることや、芝生の生育が均一にすることが求められます。そのため、安全性と均一性を保つために全面芝生で覆われ、凹凸もない、クッション性のあるグラウンドを維持していくため刈込みや肥料散布などの基本的な作業の他、特殊な管理作業が必要になります。

基本的な管理作業
【刈込】
維持管理作業の中で最も基本的な作業ですが、芝生の種類や天候や時期によって、刈込み頻度や刈り揃える高さ、刃の回転速度などの設定を細かく変えて実施します。芝生は、牧草として葉を食べられる(刈り取られる)ことに適応してきましたが、芝生にとって大事な体の一部分を除去されてしまうことで、根や茎の生育が衰退します。そのため、基本的な作業ですが、細心の注意を払って作業に当たります。何事も基本的なことが重要となります。
【散水】
スタジアムという特殊な環境下で生育しなければならない芝生にとって、雨だけでは必要な水分を確保できないので、スプリンクラーによる散水を実施します。刈込同様に、時期や時間や水分測定値などを総合的に判断して、散水量や時間、タイミングを判断して作業を遂行します。「水遣り3年」と言われるほど散水は奥深い作業です。日産スタジアムは屋根があり、人工地盤上に作られていることから非常に特殊な環境なので、さらに熟練が必要となります。
【施肥】
スポーツターフであるグラウンドの芝生は、損傷から素早い回復が求められるため、液体状や粒状の肥料を適宜散布しています。この作業も、時期、葉身分析値、芝生の種類や他の作業を総合的に判断して、成分、量やタイミングを調整して作業を実施します。
特殊な管理作業
【エアレーション】
一度芝生を張ると、滅多なことがない限り芝生を剥がすことはなくなり、永年作物として管理されることとなります。そうなることで、畑のように生育土壌を耕すことができず、生育環境は少しずつ劣化します。これらを解消する目的の一つとして、地面に棒状の刃を差して穴を開けたり(エアレーション)、地面から円柱状に土ごと抜き取ったり(コアリング)します。穴が空くことにより、地面が柔らかくなる他、排水性が高くなったり、土壌に酸素が入ることで芝生が元気になったりする効果があります。
【バーチカルカット】
芝生に対して垂直に切り込みを入れて、芝生の茎や根を切断する作業です。機械の設定次第では、サッチ(枯れた葉っぱの堆積物)除去など作業目的を変えることができるので、芝生の状態を見極めて深度や刃の回転速度を判断して実施します。茎や根を切ることで、芝生はダメージを負いますが、芝生は生き残るために、より強く多くの茎や根を出すようになります。
【芝張替え】
極力張替が不要になるように芝生を育てていきますが、回復が出来ないほど芝生が損傷してしまった場合は張替を行います。ハイブリッド芝となったことで、部分張替えの面積は減少しましたが、今でも必要に応じて実施します。
【ウィンターオーバーシード】
エバーグリーン(一年中常緑)を維持するために、秋になると暖地型芝草のスポーツターフの上から寒地型芝草の種子を播いて、冬期用のスポーツターフへと切替えます。その逆に春から夏にかけては、寒地型から暖地型へと人為的に切替えるための作業を実施します。毎年のことですが、それぞれの芝生の種類を優占種とすることに苦労します。
主な試合準備作業
【ゴール設置】
ピッチインスペクション(グラウンド点検)やCCDカメラ設置までに準備します。埋設基礎にポストを建てこみ、クロスバーやネットなどを組付けます。
【ライン引き】
水性ペイントを水で希釈して、ラインカーと呼ばれる機械を使用してラインを引きます。GPS全自動マシーンもありますが、日産スタジアムでは熟練したスタッフによる作業としています。
【人工芝敷設】
日産スタジアムは陸上トラックがあるので、サッカーグラウンドを際立たせるために人工芝を敷設します。広いトラックに対して1.7×22mの人工芝を人力で敷き詰めますので、設置撤去となると大変な作業です。
【選手ベンチ設置】
日産GT-Rシートが装着された日産スタジアム専用の選手ベンチです。冬の寒い時期にはヒーティング機能搭載によりシートが暖かくなります。2019年シーズンから一新されましたが、お気づきでしょうか?