芝生観察日記 第82話

芝生観察日記の第八十二話です。

平成30年8月16日(木)

<~ Road to 2019&2020 ~>

 昨夜、ハイブリッド芝へ張替えて初となるJリーグが開催されました。

 試合の結果は残念でしたが、お披露目となったハイブリッド芝は、試合を見た方であれば素人目で見ても「あれっ、大丈夫か」と、きっと思われた方が多かったのではないでしょうか。

 下の写真は、試合直後のフィールド状況です。

芝生観察日記_82①.jpg

 確かに毛羽立った感じがしますが、個々の傷を近くで見ると下の写真のような傷が点在した状況になります。芝生観察日記_82②.jpg

 しかし、試合後に芝を刈ると下の写真の左側のように綺麗になりました。今回ハイブリッド芝へ張替えた際に、これまでのティフトン419からセレブレーションへと芝生の種類も変更していますが、共にバミューダグラスの仲間です。性質的には匍匐茎という横に広がる茎が重なり合ってスポーツターフとして芝生の強度を増しています。そのため、サッカーやラグビーなど激しい競技で選手の加重がかかった部分の匍匐茎が切れて、跳ね上がり実質的な損傷よりも重い傷のように見えてしまいますが、写真のように芝を刈り、跳ね上がった芝片を刈り取ると目立たなくなります。

芝生観察日記_82③.jpg

 写真は、傷口の接写ですが、指で指した先に細い人工芝が覗いているのが判りますか。人工芝の比率は僅か3%弱ですから見つけるのは結構大変です。

芝生観察日記_82④.jpg

 今回の結果を見て、感じたことは、ハイブリッド芝は決して不死身ではないということ。フィールドを覆う97%以上が天然芝であり、何より大事なことは天然芝の管理を如何に上手く行うかということが重要だということです。

 収穫もありました。選手の加重によって生じる芝生の凹みや抉れるといった症状が殆ど確認されなかったことです。これはハイブリッド芝による効果だと言えます。

 最も大事な天然芝の管理については、まだ芝生を張って1ヶ月半です。コンサート後という影響もありますが、芝生の密度は少なく、まだ十分に根が下りていません。1年かけて畑で大事に育てた芝生ですが、よっぽど好条件が揃わない限り、これまでのティフトン芝では、1年間でビッグロールにして張り替えることは難しいとされています。今回横浜市が採用したセレブレーションの生育が旺盛なので可能となった業だと感じています。

 セレブレーションの管理については、手探りの日々です。手馴れたティフトン419とは勝手が違う部分も多々ありますが、秘めたクオリティーはこんなものではないと思っています。今後、Jリーグの試合を重ね、試行錯誤しながら目指すは10月27日に予定されているラグビーのブレディスローカップです。来年開催されるラグビーワールドカップのシュミレーションと位置づけられた試合です。

 この試合の状態を元に、来年の本大会に向けた課題を整理し、管理計画を作成する予定です。

 次節に向けた状況をまた報告します。