観察日 : 2016年 8月30日(火)
場 所 : テニスコート脇側溝
生きもの: アメリカザリガニ
記事作成: 横山大将(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
1週間ほど前ですが、台風9号が猛威をふるいました。その際、鶴見川多目的遊水地(新横浜公園は遊水地に含まれます)は、増水した鶴見川の水を一時的に貯め、下流域へ流れる水を調節しました。よって新横浜公園は、生きものが流されて入ってきたり、園内の池の生きもの等が園地に移動したりといったことが起こります。今回はそんな生きものの痕跡を探しに行ってみました。
少し日が経つため、すぐには見つからないだろうと思い、ふとテニスコートの横にある浅い側溝を見てみました。いつもは水が流れていませんが、結構な量の水が流れています。今朝の雨のせいかな?など考えていると、「ん?今何か動いた・・・。」すかさず側溝の上を覆っていた草をよけてみると、いました。アメリカザリガニです。しかも2匹。おそらく、園内の池か水路から打ち上げられたのでしょう。ザリガニの大冒険ですね。
子ども達にとってはザリガニ釣りなどで大人気ですが、名前の通りアメリカ原産で、雑食のため日本の生態系を脅かしているとされています。1927年にウシガエルのエサ用にアメリカから20匹が神奈川県鎌倉郡岩瀬に持ち込まれましたが、養殖池から逃げ出した個体が自然下で繁殖し、1960年頃には九州地方にまで分布を広げたのです。その後も分布を広げ、今では北海道から沖縄までほとんどの場所で見られるようになってしまいました。アメリカザリガニに限らず、本来その場所にいない生きものを飼育するときは、むやみに野外に放さず、最期までしっかりと飼育するようにしましょう。
アメリカザリガニ
赤丸内で発見

観察日 : 2016年 8月29日(月)
場 所 : 投てき練習場 園路
生きもの: クズ、ツルマメ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
今回は花が咲いていたクズとツルマメを紹介します。どちらもマメ科のつる植物です。花は、蝶形花とよばれる蝶に似たような形をしており、マメ科の特徴です。シロツメクサも同じ仲間で、蝶のような花をしてないじゃないかと思われるかもしれませんが、1つひとつの花を見ると同じつくりになっています。
クズは、漢字で書くと「葛」。みなさんもよく知っている風邪薬の葛根湯や葛粉(根からとったでんぷん)に用いられる植物です。名前の由来は、吉野川の上流にあり、古事記や日本書紀に登場する国栖が葛粉の産地だったからといわれています。花は葉の影にあったりしますので見逃しやすいですが、房状にたくさん咲かせて甘くいい香りがします。秋の七草の1つでもあります。
ツルマメは、園内の水路のいたるところにあります。べたーっと覆っている植物があったら、ツルマメと思ってよいかと思います。花はクズのように房状にはつけず、小さくてかわいらしい感じです。このツルマメは、ダイズの原種と考えられていますが、豆は大きくありません。長さ約3cmの豆果に3個程の種子をつけます。食べられますが、おなかの足しにするにはかなりの頑張りが必要ですね。
クズの花
ツルマメの花
びっしりと覆っているツルマメ

観察日 : 2016年 7月30日(土)
場 所 : 園内水路(1-a号水路)
生きもの: マメコガネ、アオドウガネ
記事作成: 横山大将(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
夏の昆虫と聞いてカブトムシを思い浮かべる方は多いと思います。カブトムシはコガネムシ科に分類される大型の昆虫で、子どもたちにとっては夏の風物詩ともいえます。ですが、カブトムシばかりが有名になり他のコガネムシの仲間はあまり知られていません。そこで、今回はよく見られるコガネムシ科の昆虫2種類をご紹介していきたいと思います。
まずは、マメコガネです。日本全国に分布する体長8~15mm程度の小型コガネムシです。マメ科植物やブドウ、モモ等の葉を食い荒らすため、農家からは嫌われています。1916年にはアメリカに侵入した個体が発見され農作物を食い荒らしてアメリカの農業に甚大な被害を与えました。現地では「ジャパニーズビートル」と呼ばれ駆除の対象になっています。
続いては、アオドウガネです。北海道以外の日本全国に分布する体長18~25mm程度の中型コガネムシです。山地から都市部まで幅広く見られる昆虫で、主に植物の葉を食べます。よくカナブンと間違えられますが、こちらのほうが若干小さく、全体的に丸みを帯びています。もともとは南西諸島に多く見られたようですが、最近北上し、生息域を広げているようです。
今回ご紹介したコガネムシの仲間は新横浜公園内水路脇の草地等で見ることができますので、ぜひ探してみてください。
カブトムシ♀(別日に確認)
マメコガネ
アオドウガネ
カナブン(別日に確認)

7月23日(土)、「新横浜公園四季折々のいきもの観察会」(協賛:奈良造園土木株式会社)の2回目の観察会が行われました。
今回は「セミの羽化と昆虫トラップ観察会」と題し、セミが羽化する様子と事前に仕掛けたトラップ(罠)に集まる昆虫たちを観察しました。全5回の観察会のうち、唯一夜に行われる観察会です。
まずは、教室でスズメバチに遭遇した時の対処法など、自然を観察するときに大切なお話がありました。昆虫トラップ観察の際には、赤いフィルムなどを使用し、昆虫には見えない赤い光にてハチがいないかどうか安全確認をする説明がありました。
次に、公園内での観察会です。まずは、セミが羽化するポイントに行きました。時間は18時半すぎ。日が落ちていないためまだ明るく、セミが羽化するには少し早い時間です。そこで、最初はセミの抜け殻探しを行いました。
今回集めたセミの抜け殻はほとんどがアブラゼミでした。新横浜公園で最も多く見られるのがアブラゼミだと納得できます。木を上っている幼虫が5~6匹見られ、羽化の期待を持ちつつその場を離れました。
続いて、新横浜公園内を歩いて移動しながらの自然観察会です。ヒシなど、今回のテーマであるセミと昆虫以外の話も聞くことができました。先日の大雨により、中身の少ないヒシの実が多く水際に上がっていました。ゆでると、栗のような味がするそうです。

ヒシの実について説明中
そして暗くなった頃、事前に仕掛けた昆虫トラップを順番に回りました。今回はカブトムシのメスとコクワガタ、ヤブキリ(キリギリス科)のメスなどを見つけることができました。カブトムシが見つかると歓声が上がりましたが、今回の観察会では、オスは見つかりませんでした。
昆虫トラップ観察中
コクワガタのオス
カブトムシのメス
ヤブキリ(キリギリス科)のメス
完全に暗くなった20時頃、セミの羽化を観に行きました。木に止まったセミの背中から成虫が出る様子が観察できました。参加者からは「すごい!」「がんばれ!」との声が挙がりました。
セミの羽化観察中
木を登ってこれから羽化しようとするセミも多くいました。セミの羽化の観察が子どもたちの夏休みの思い出として残ってほしいと思います。
最後に、教室に戻り、今回仕掛けたトラップの作り方を教えていただきました。材料はバナナ・ドライイースト・焼酎です。ベランダなど暖かいところで半日ほど発酵させて作ります。これでみんなも昆虫が集まるトラップを作れますね。
次回の四季折々のいきもの観察会は9月19日(月祝)開催です。この日は、慶應義塾大学名誉教授の岸由二先生を特別講師にお迎えしてバッタとりなどの自然観察と新横浜公園の生きもののにぎわいについての講演を行います。皆様のご参加をお待ちしております。観察会の様子はまた、ブログで紹介します。
この「新横浜公園四季折々のいきもの観察会」は年5回の観察会を予定しており、奈良造園土木株式会社様にご協賛いただいています。また、鶴見川流域ネットワーキングさんに講師を依頼しています。
今回観察会のために特別にトラップ設置を行いましたが、普段は無断でのトラップ設置は禁止となっております。また、公園内で捕まえた昆虫は放してあげるなどの配慮をお願いいたします。
観察日 : 2016年 7月28日(木)
場 所 : 園内水路(2号水路)
生きもの: キアゲハ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)

キアゲハ
北川園地の水路を観察していると、ひらひらと1匹のキアゲハがやってきて、セリの花にとまり体をくの字に曲げては、また隣の花へ移動していました。よく見ると大きな幼虫が、1匹、2匹、3匹、4匹! 中くらい(4齢)の幼虫も3匹見つかり、ほとんどはお休みでしたが、2匹はむしゃむしゃお食事中でした。 成虫がとまっていた花を見てみると産んだばかりの卵も4個見つけることができました。
キアゲハは、セリ科の植物を食草としており、5月の観察日記238ではハナウドに幼虫がいましたが、今回はセリにやってきていました。セリは夏が花の時期で、白い小さな花をたくさん咲かせます。公園内の水路にたくさん見られるのですが、この時期になるとヒメガマやヨシなどに覆われてしまいほとんど目立ちません。ここは少し開けていてお母さんキアゲハも見つけやすかったのかもしれませんね。
セリ
キアゲハの卵
終齢(5齢)幼虫
