観察日 : 2023年 8月8日(火)、22日(火)、 29日(火)
場 所 : 水路付近、第2運動広場北側、(鶴見川)
植 物 : ハマカンゾウ
動 物 : オオタカ、オオヤマトンボ、ツクツクボウシ、キアゲハ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
猛暑の観察(8月8日)
鶴見川多目的遊水地の最上流部の堤防から、減勢池や大池の様子を観察していると、越流堤下流側の水位計に、カラスほどの大きさの鳥を発見。カラスとは少し違うなと感じ、撮った写真を確認するとオオタカでした。秋から春にかけて観察されることが多いですが、こんな暑い日に現れるとは、思いもよりませんでした。近くで撮影しようと、急ぎ足で大池沿いの園路を下流へ。そろそろカメラを向けようかと思っていたとき、バッと飛び立ってしまいました。最短距離でなくても、とりあえず撮っておけばよかったと後悔。今になっても判断が難しいものです。
水位計にとまっていたオオタカ
気をとり直して観察再開。セミの鳴き声は、アブラゼミ(ジリジリジリ...)の大合唱はピークを過ぎ、ツクツクボウシ(オーシンツクツク...)が多くなってきていました。特に水路沿いのヤナギで盛ん。目を凝らして探すも、薄暗くてなかなか見つからず。下草についていた幼虫の抜け殻だけは見つけることができました。よく見かけるアブラゼミの抜け殻に比べると、小さくスリムな体型。成虫を諦め、場所を移動しようとしたとき、近くの木からオーシンツクツク、オーシンツクツク...。ちょうど目の高さの幹に成虫がとまっており、難なく写真を撮ることができました。
運が向いてきたのか、今度は隣の木の樹冠を見上げると、枝にとまっているオニヤンマ模様のトンボを見つけました。コヤマトンボとの見分けになる頭部の黄色線は見えませんでしたが、他の特徴からオオヤマトンボだと思われます。幼虫(ヤゴ)は、平地などの開放的な大きな池で2~3年過ごして羽化します。
ツクツクボウシの幼虫の抜け殻(上)と成虫(下)
オオヤマトンボと思われるトンボ
逃してしまったオオタカのことがどうしても気になり、再び戻っていることを期待して、水位計や河川カメラ、川の距離杭などいそうな場所を度々確認するも姿はありません。
新横浜公園から出て、鶴見川にも行ってみました。亀の甲橋から鶴見川の上流を目視。左の岸に生えているヤナギの枝に鳥がとまっているのに気づいて確認。いました!オオタカ。この暑さに堪えているのか、観察中はくちばしを開いて体温調整をしている様子でした。
亀の甲橋から鶴見川上流
くちばしを開き、暑そうなオオタカ
花盛り(8月22日、29日)
この夏は、本当に暑い。雨が降らない。暑さや乾燥に強いハマカンゾウも7月中旬には葉が黄色くなりはじめていました。これはまずい。水やりを定期的に行ってなんとか回復させることができました。花のピークは、例年8月20日前後。今回は回復が遅れたこともあり、8月末に170輪ほどの花を咲かせてくれました。一方、育成地のハマカンゾウは木陰になっていることもあり、ほとんど水やりをしなくても無事でした。
花の形はユリに似ており、何日も咲いているように思うかもしれませんが1日花。早朝に開花し、夕方にはしぼみます。つぼみがたくさんできるため、7月下旬から9月頃まで楽しめます。花色は、オレンジが普通ですが、赤みの強いものもあり、変化を見るのも面白いですね。
※ハマカンゾウは、暖地の海岸に分布しています。ヤブカンゾウ、ノカンゾウよりも環境の変化に強く、育成も容易であるため、多自然ガーデニングに適した種として活用しています。
葉が黄色くなり始めていたハマカンゾウ
無事に花をつけてくれました。(8月22日)
育成地のハマカンゾウ(8月29日)
吸蜜しているキアゲハ(8月22日)
赤みが強いハマカンゾウ(8月29日)
〜新横浜公園ナチュラルガーデン ブログ〜 2023年8月
残暑も厳しい今日この頃ですが、今の時期ひときわ美しく咲いているのは、ロータリーガーデンの真ん中にあるサルスベリ
サルスベリの散った花が、根元にあるシュウメイギクの葉の上に乗って、まるでピンクの花が咲いているように見えます。
シュウメイギクの蕾もだんだん膨らんで、花が咲き始めてきました。よく見ると小型のパンパスグラスの穂も出てきています。
お花の少ないこの時期に活躍してくれるのが、秋の七草の一つであるオミナエシ(女郎花)。オミナエシ科の宿根草で、日本では万葉集や源氏物語などに登場し、古くから親しまれてきました。ナチュラルガーデンでは、6月ごろからずっと咲き続けていますが、ススキなどのイネ科の植物とも、とてもよく似合います。
8月28日に、日産スタジアム運営ボランティア グリーン&クリーン部会のみなさんとメンテナンスを行ないました。夏の間に伸びてきて他の植物に絡みついているヤブガラシや、するどいトゲを持つワルナスビなどの除草を行ないました。花の終わったエキナセアやモナルダが面白い形のシードヘッドになっていますが、こちらはもう少し枯れ姿を残しておくことにしました。
中央広場のカツラの木の根元の植栽は、6月の植え付け直後から、厳しい暑さにさらされてきました。植物によって元気なものと、元気のないものが出てきているようなので、9月にはみなさんと観察しながら、補植や球根の計画についても考えていきたいと思っています。
記事作成:貝瀬洋子(studio nazuna)
観察日 : 2023年 7月13日(木)、28日(金)、30日(日)
場 所 : 水路付近
生きもの: アブラゼミ、ニイニイゼミ、コクワガタ、ルリタテハ、コムラサキ、クロカナブン
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
地中生活から地上へ(7月13日)
ジリジリジリ...。アブラゼミの鳴き声は、盛夏を感じさせてくれます。今年も聞こえ始めたため、夜の公園に行ってきました。
19時過ぎ。あたりは大分暗くなり、暑さは少し落ち着いてきました。投てき場周辺から観察開始。探し始めて間もなく、地面を歩いているアブラゼミの幼虫を発見。近くの木を見ると、幹を登っているものもいました。
場所を移動して、第2運動広場の北側の樹木が点在しているエリア。針葉樹のメタセコイアでは、羽化中のニイニイゼミが3匹。うち1匹は翅が展開していました。本種は、アブラゼミよりも小型で幼虫の体には泥がついているので一目瞭然です。シダレヤナギには、アブラゼミの抜け殻がよくついているため、根本付近の地面や幹、枝葉を探していると、1匹の幼虫が木登り中。すぐそばには、樹液に来ていたコクワガタの雄と雌がいましたが、両者気にする様子は全くなし。幼虫はマイペースに登っていきました。
20時40分頃。投てき場のそばにいた幼虫の様子が気になり、戻ってみました。枝先の方を探すと、真っ白なアブラゼミが2匹、目につきました。以前、アブラゼミの羽化を観察したときは、幼虫が場所を決めて背中が割れ始めてから、約50分で翅(はね)が展開しました。幼虫の確認から1時間以上経っていたので、羽化に十分な時間でした。何回も観察しているのですが、毎年、感慨深いものを感じます。
地上に出てきたアブラゼミの幼虫(19時20分、投てき場そば)
登っている幼虫もいました。
アブラゼミの成虫
羽化中のニイニイゼミ(19時50分、第2運動広場北側)
羽化したニイニイゼミ(20時、第2運動広場北側)
ニイニイゼミの成虫
サクラの樹皮にうまく溶け込んでいますね。
コクワガタの横を登っていくアブラゼミの幼虫
(20時、第2運動広場北側)
アブラゼミの羽化。翅(はね)はしっかり広がっていました。
(20時45分、投てき場そば)
樹液などに集まるチョウ(7月28日、30日)
夜の昆虫観察のために仕掛けを木につけていると、黒っぽいチョウのようなものが、視界の隅に一瞬入りました。後ろを振り向くと、パタパタ飛んでおり、翅の表に青白い模様。ルリタテハでした。仕掛けの匂いに誘われてやってきたのかなと思っていると、すぐにその木にとまり、吸汁を始めました。時々ルリタテハを見かけるため、2年前、多自然型管理を行っている水路に食草のホトトギスを植えたのですが、幼虫は未確認。個体数が少なそうなので、すぐにとはいかないものですね。
別の場所の仕掛けには、コムラサキとクロカナブンがきていました。コムラサキは、ルリタテハと同じタテハチョウの仲間。神奈川県では、レッドデータ報告書2006によると、絶滅危惧ⅠB類(ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの)に位置づけられています。今年は、目につきやすい場所で樹液が出ており、そこに集中しているためなのか分かりませんが、例年よりも数が多く感じられます。
園内には食草となるヤナギ類が豊富。産卵場所も餌場もあるため、とてもよい環境だといえそうです。今後もたくさんのコムラサキが見られる公園であってほしいですね。
匂いに誘われてやってきたルリタテハ(7月28日)
吸汁し始めました。
ルリタテハの翅裏の模様
仕掛けにやってきたコムラサキとクロカナブン(7月30日)
クヌギの樹液に集まるコムラサキ(7月30日)
〜新横浜公園ナチュラルガーデン ブログ〜 2023年7月
毎日暑い日が続いていますね。ガーデンの植物も暑さの中、頑張っています。
こちらは、7月7日(金)にメンテナンスを行なった時のガーデンの様子です。ピンク色のエキナセアやブルーのアガパンサス、白いアナベルなどが咲き始め、見ているだけで楽しくなるような風景でした。
ボーダーガーデンのエキナセアも満開
ロータリーガーデンでは、黄色いコレオプシスデージーやカンナ、ユリなどが花盛りでした。
7月24日のメンテナンスでは、茂って込み合っている植物の切り戻しや除草などを行ない、風通しがよくなるようにお手入れしました。日産スタジアム運営ボランティア グリーン&クリーン部会のみなさんが、照り付ける太陽の中、元気にメンテナンスに参加してくださいました。厳しい暑さだったので、水分補給や休憩を取りながら、なるべく短時間で作業を行ないました。
ワインディング パスに植えたウツボグサが、とても元気に育っています。5月にはたくさんの花を咲かせていましたが、今は花穂が茶色く変化しています。
ウツボグサは別名「夏枯草」(カコソウ、またはカゴソウ)とも呼ばれています。まさにそんな感じの姿ですね。でも葉はきれいな緑色です。
記事作成:貝瀬洋子(studio nazuna)
観察日 : 2023年 6月5日(月)、20日(火)、28日(水)
場 所 : 修景池、水路
生きもの: コイ、ナマズ、カワセミ、カルガモ
記事作成: 阿部裕治(NPO法人鶴見川流域ネットワーキング)
越流後の修景池(6月5日)
台風2号による大雨で鶴見川が増水。3日(土)に鶴見川多目的遊水地への流入があり、約35,000m3を貯留しました。
週が明けて5日。北側園地は利用再開に向けて準備中のところ、水路の植生管理のために入場し、作業の合間に様子を観察してみました。水路は、水位が上がったところまで、草に泥がついているという程度で大きな変化はなし。修景池に行ってみると、水路の流れ込みにはいつも通りコイの群れ。その周りを見ていると、沈んだ枯れ枝の隙間にナマズを発見しました。50㎝くらいはあるでしょうか。別の場所にもいないか探すと、水辺の石積みのそばにナマズが2匹。これも40~50㎝ありそうです。日中の明るいときでも活性が高ければ釣れるのか分かりませんが、釣りをする人には興奮しそうな状況ですね。なお、ときどき大池で釣りをする人を見かけますが、公園内での釣りは禁止されています。
6月3日 9時頃の様子
水路からの流れ込みに群がるコイ
枯れ枝に身をひそめるナマズ
近くにも2匹いました
咲いている花はいくつ?(6月20日)
修景池そばでは、ヤブカンゾウが開花。オレンジ色の花がとても目立ちます。2021年の10月に開催した生きもの観察会で、参加者のみなさんに植えていただき、順調に生育しています。
花を数えていると、水路の方から「チィー」という声。見ると、水面に張り出している枝にカワセミがいました。写真を何枚か撮れたところで飛び立ってしまいました。不意打ちがあると、どこまで数えたか分からなくなるもので数え直し。すると、今度は後ろの修景池の方から同じ声聞こえてきました。振り返って探すと、橋の柵に姿あり。よく見るとコバルトブルーの背中が3つ。初めての光景に、飛ばないでくれと祈りながらカメラを起動させ撮影しました。カワセミの繁殖は、春から夏。巣立ち前には、ダイビングして採食の練習もするようですので、親も付き添って練習に来たのかなと想像。言うまでもなく、ヤブカンゾウの花は数え直し。開花数は28輪でした。
ヤブカンゾウの花
枝にとまるカワセミ
橋にカワセミ3羽
まん中のカワセミ
左のカワセミ
右のカワセミ
久しぶりの親子(6月28日)
田んぼ近くの水路を観察していると、水際の草がガサガサ揺れていました。「ニャ」と鳴き、飛び跳ねて逃げる様子はないのでウシガエルではなさそうです。双眼鏡で覗くと、そこにいたのはカルガモの子ども。5羽確認できました。だいぶ成長し、顔は大人っぽくなってきています。子どもたちはみんな食事中。嘴を水につけてパクパク動かしていました。母親はすぐそばで、周囲を確認しながら見守っている様子でした。
私の観察のタイミングがよくなかったのか、公園内では2、3年ぶりにカルガモの親子に出会いました。元気に成長してほしいですね。この日は、ニイニイゼミの声を初聴き。今年も夏がやってきました。